『正客』と『お詰め』〜茶席の重要ポジション〜

~その席、ちょっと待った!お茶席で“うっかり”しないために〜
茶道の世界に足を踏み入れたばかりの頃、お茶会に呼ばれるとドキドキですよね。
何を着ていこう、いつお辞儀すればいいんだろう… それだけでも精一杯なのに、実は座る場所にも、ちゃんと意味があるんです。
特に注意したいのが、「正客(しょうきゃく)」と「お詰め(おつめ)」の席。
知らずに座ってしまうと、その日のお茶会が…いきなり大役スタート⁉ なんてことにも。
「正客(しょうきゃく)」とは?
お茶席でのお客様代表。亭主とのやりとりや、会話のリードを任される立場です。
一番亭主に近く、お点前が一番よく見える位置に席が設けられます。
お軸やお道具について質問したり、他の客の流れを導いたりと、その役目は多岐に渡ります。

正客は選ばれし人しか、なれないポジションです。
「お詰め(おつめ)」とは?
正客と対になるような、もう一つの重要ポジション。
お詰めは、末席(まっせき)=最後に座るお客様を意味します。
実はこの末席、「とりあえず一番後ろで目立たないように…」という初めてさんの安住の場所にあらず!
茶碗や道具を建水に返すタイミングを見極めたり、流れを細かく把握して動くなど、
かなり経験と観察力が求められる、上級者向けの席なんです。

思わず一番後ろと思って座ってしまいそう!

とりあえす端っこは避けたほうが無難だよー
大寄せの茶会だと『お詰め』なんかは、気にしなくても良かったりもするけどね!でも正客は必ずいるものなんだよね。
茶道あるある:鬼の譲り合い
お茶会が始まる前、受付を済ませて席入りのタイミングになると、
そこかしこで繰り広げられるのが──
「正客になりたくない譲り合い」!
Aさん「どうぞ、正客席に」
Bさん「いえいえ、私は…」
Cさん「いやいや、滅相もない!」
──まさに“鬼の譲り合い”。
このやり取りを目にすると、「あ、これが本物の茶道あるあるか…」としみじみします(笑)
初めての人が気をつけたいポイント
❶ とりあえず、煙草盆のある席には座らない!
煙草盆(たばこぼん)が置いてあるのは、正客の目印。
うっかりその前に座ってしまうと、周囲から自動的に正客認定されてしまうかも。
❷ 両端の席(=正客・お詰め)は避ける!
お茶室の両端──床の間の前と、出入口付近は、経験者が座る特等席。
初心者は、真ん中あたりを狙って座ると安心です。
正客もお詰めも、事前にお願いされるのが基本
本来、こうした役割は亭主側から事前にお願いされるもの。
突然その場で指名されることは、正式な茶事ではほとんどありません。
だからこそ、初心者さんは無理に前や端に座ろうとせず、
「今日は学ばせていただく日」として、真ん中で静かに観察するのがベストなんです。
最後に
茶道は、誰もが最初は初心者。
けれど、ちょっとした知識があるだけで、自信を持ってお茶席に臨めるようになります。
正客とお詰めのこと、煙草盆の目印、譲り合い劇場──
ぜひお茶の席では、この記事を思い出してくださいね。そうするとそのお茶席をもっと楽しむ事ができるはず。
今日は何故この掛け軸なのか、何故このお茶碗なのか。正客と亭主のやりとりでその意図や演出がわかるとまた、見え方も変わります。
またお詰め方の気配りにも感動したりします。
あなたのお茶道が、ますます楽しいものになりますように🍵